2013年7月1日月曜日

マッキンリーに消えたS石君

 彼と私は大学時代の学部の同期でした。基礎クラスは違ったのですが、英語や化学で同じクラスになったことがきっかけで知りあうようになりました。
普段は寡黙な男で、登山(当時はワンダーフォーゲル部に所属)・ロッククライミング・酒(ウィスキー)・文学をこよなく愛する男でした。自分の好きなものに打ち込むために、大学は1年休学し、卒業後も定職にはつかず、アルバイトをして資金を貯めては海外でロッククライミングを楽しむという生活をしていました。私には彼が開高健や椎名誠に見えて、内心で彼のライフスタイルに憧れを抱いていました。
 そんな彼は数年前にマッキンリーの登山中に雪崩に巻き込まれ帰らぬ人となりました。その訃報を耳にした時、悲しみよりも「何てあいつらしい最期なんだよ!」という思いが強かったです。(ご遺族に対して極めて不謹慎なのは承知ですが)彼の死をすんなりと受け入れてしまうことができたのでした。27歳という若さでこの世を去ったことを残念ではありますが、自分の好きなことを追求した彼の生き方を私は一生忘れることはないでしょう。彼に出会えたことを私は誇りに思ってこれからも生きていくことにします。

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