今回の投稿は、『本の底力 ネット・ウェブ時代に本を読む』の読書メモです。
デジタルメディアは「文明」、本は「文化」
p.6 iPad(アイパッド)で代表されるデジタルメディアを「文明」とすれば、本や雑誌などの活字メディアは「文化」である、と著者は考える。
p.20 この活動(ヤシマ作戦;註)をつづけるにあたり、エヴァンゲリオンの版権元から作戦の名称や画像の使用について寛大な対応をして頂きました。
⇒☆それは知らなかった!
p.22 世の中はインターネット登場(1995年頃)を境に、ネット以前(BI=ビフォア・インターネット)とネット以後(AI=アフター・インターネット)に二分して考えたらよい
p.26 交流サイトであるLINEの特徴は三つある。
「初めからパソコンは捨てて、スマホ向けに特化したこと」
「知らない人との交流に疲れを感じるSNS利用者に向けて、知り合い同士だけで使う非公開(クローズド&プライベート)のネットワークにこだわったこと」
「情報(インフォメーション)よりは情緒(エモーション)を重く見てメールそのものを工夫した」―
p.39 (「トップレス」とは;)ラップトップ(ノート)パソコンやスマホなどのデジタル機器を会議に持ち込まないようにすることだ。
p.43 米社会学者ジョージ・リッツアによると、マクドナルドが成功を手にしたのは「効率性」「計算可能性」「予測可能性」「制御」の四つの要素による。
p.45 普遍性、汎用性、共通性、一律性など、「文明」に属する特性である。
「マクドナルド化」も「グーグル化」「アマゾン化」も、「文明」の同じ特性のもとにあるのだ
パーソナル化された検索結果からはセレンディピティは期待できない
p.49 検索結果がすべて「パーソナル化」されているからだ。「パーソナル化」検索とは、検索結果の適合性を高めるため、利用者の属性や興味、関心に合わせ検索した結果を変換する検索技術である。
⇒p.53-54 パーソナル化が進めば進むほど、自らの創造性を高めるのに欠かせない「セレンディピティ」、つまり偶然との予期せぬ出会いからはどんどん遠ざけられる格好となる。
p.60 この新興検索エンジン「ダック」の最大の売りものは、利用者のプライバシーを尊重して、検索するときにその記録を履歴に残さない、検索履歴などの個人情報をもとに検索結果にいっさい手を加えない、ことである。
p.73 新聞が「客観報道」の「第三人称のジャーナリズム」であるなら、雑誌や本は編集長や編集者の主観をもとに築かれる独自の世界である。
p.95 「文明」としてのデジタルメディアは普遍性、汎用性、定型化、千篇一律などの性格を持つ。これに対して「文化」としての本・雑誌などの活字メディアには独自性、個別性、特有、個性などの特徴がある。
p.98 紙の本は文化に属すると記したが、同じ紙の本を読むにしても読書量を誇る速読家がやや「文明」人の顔をしているとすれば、「遅読―スロー・リーディング」の読み手はまさに「文化」人である。
⇒☆(笑)
p.123 講談社副社長(当時)・野間省伸も「机に向かい前かがみで利用する(リーンフォワード)のが電子書籍、後ろに背をもたせかけ読む(リーンバック)のが活字の本」
デジタル時代に、本という「文化」に没入することの意義
p.137 その(紙の本の;註)特性、本領、底力とはどんなものか
三つある。
一つめは、形や重みがあり一定の秩序のもとで自己完結している「本」という存在それ自体が、データや情報が増大、拡散するデジタル時代、ウェブ時代にあっては一種のアンカー(錨)としてとりわけ意味のあるそんざいであること。
二つめは、本を手にとって読むことが「脳」の働きを活発にし、手の「皮膚」感覚にもよい刺激を与える、そしてそのようにして読書で得られた脳の充実感や皮膚の快感という印象は、本人の精神や身体にいつまでも快い記憶として残り続けること。
三つめは、本に没頭し本と一体になる読書の行為というのは、あわただしいデジタル化の流れのなかで、自分をもう一度見つめ直し自己をとらえ直すのに有効な手段であり、誰もが手軽に取り組める黙想や瞑想方法でもあること
p.139 没入しないことだけが悪いのだ。今この環境が悪いのではない。自分の没入しないことだけが悪いのだ」―と「没入」すること、「一行三昧」の大切なことを強調する
p.162 「乱読のセレンディピティ」ばかりは、携帯やネットに期待できないことであり、本の乱読を重ねてはじめて獲得できることだと説く。
p.169 (本や新聞・雑誌などの;註)プッシュ型の情報はパーソナル化された検索結果を補正するのにも力を貸してくれる。
p.172 「禅とはととのえることだ。不要なものをどんどん切り捨てていった後、一切を一瞬にして感得することである」
p.172 仮想現実のデジタル文明に漬かる日々であればこそ、人と人との一期一会を尊び、一瞬一瞬を大切にし、自ら冷暖を知ることを心がけるという「文化」が求められる。
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