2014年2月9日日曜日

しーたさんの講演会「発達凸凹を活かそう!」@かこむに参加してきました

本日は加古川市のかこむで行われた、しーたさんの講演会「発達の凸凹を活かそう!!」に参加してきました。今回の投稿は参加体験記としてお読み下さい。

しーたさんは、アスペルガー症候群の当事者として、ブログ「私はアスペルガー症候群でしーた♪」や書籍『アスペルガー症候群だっていいじゃない』を発行されている方です。このブログでも「管理人が『アスペルガー症候群の人』のことを『あすぺさん』と呼ぶ理由」という投稿でご紹介させて頂きました。本日の講演会を紹介したしーたさんのブログはこちらをご参照下さい。

講演会で、しーたさんは「発達の凸凹を活かそう!」と題して、以下の3点について話をされました。

1.私のやり方は間違ってるの?


しーたさんは、うまくいかない原因は不安と迷いの気持ちにあることをまず主張されました。その上で、大切なのは、
①苦手を徹底的に避ける(≠逃げる)

②苦手を補う周辺の能力を徹底的に鍛える(これが強みの素になる)

③誰が何と言おうとも①②をやる覚悟

の3点を挙げました。その具体例として、ウサイン・ボルト選手の話を挙げました。

私も初めて知ったのですが、ボルト選手には先天性の脊柱側湾症があり、走ると体に負担が大きくかかるそうです。実際、陸上を始めた頃のボルト選手は脊柱側湾症により故障がちだったそうです。

そこでボルト選手は、コーチの指導のもと、体幹の筋力を鍛えることにしました。その結果、体への負担が軽減するとともに、太ももの蹴り上げる力も増大して走り方も劇的に変化し、ついに世界の頂点に上り詰めることができたのだそうです。

つまり、「苦手を補う周辺の能力」である体幹を鍛えることで、ボルト選手は脊柱側湾症という「苦手を補う」ことだけでなく、太ももの蹴りあげる力という「強みの素」も生み出すことができたわけです。

2.目的と手段を間違えていない?


しーたさんによると、大切なのは、「最終目的を達成すること」であり、そのためには、自分にとっての「最終目的」を見定める必要があることを説きました。ここでは、脳科学者の池谷裕二さんの興味深いお話を聞くことが出来ました。

池谷さんには「九九や公式を覚えることができない」という弱点があります。しかし、彼は「10倍、2倍、半分と足し算、引き算を組み合わせて計算する」、「最小限のことだけ覚えて、毎回公式を導く」という工夫で解決しているそうです。

池谷さんは、①暗記(苦手)を徹底的に避けて、 ②思考力(苦手を補う周辺の能力)を徹底的に鍛えることで、弱点をカバーしています。そして、その思考力が抜群にアップし、ついには、東大薬学部・大学院主席となったのです。

目的が、「正確な値を求める」ことならば、九九を覚えることは手段にすぎません。しかも、問題を解決する手段は多数あることのほうが世の中多いのです。ならば、自分にとっての最終目的を見定め、その上で手段を取捨選択すればいいのです。そして取捨選択の際に、苦手を徹底的に避けるとともに、周辺の能力を活用することが大切なのではないでしょうか?

3.苦手解決を解決するための手段


3つ目は、苦手を解決する手段のお話です。苦手を解決するにあたり、シータさんは、苦手の難易度判定、つまり自分にとっての難易度を見極める必要があるとおっしゃいました。

「1度もできたことがない/ほとんどできたことがない」ことは、とりあえず後回し(昨年の流行語「今でしょ!」の反対の「今じゃない!」精神)にして、「できるときもある/できたりできなかったり」することから手をつけていくことが大切だということです。

複数ある苦手の中で1つだけに集約して取り組めば、二兎を得ることができる!


しーたさんが著書でも言っておられるように、あすぺさんには、定型発達の人と比べて、苦手(≒できないこと)が上乗せされている状態です。
私たち発達障害を持つ人は、「定型発達の人ができないこと」+「発達障害によってできないこと」なのです。他の人よりも、できないことが上乗せされているのです。
『アスペルガー症候群だっていいじゃない』(しーた/Gakken)p.29


そこであすぺさんに大切なのは、「苦手なことを1つだけに集約して解決を図ること」だと思います。

「苦手なことが山積みなのに、1つに集約して大丈夫なのか?」という人もいるかもしれませんね。「他の苦手なことがどうしても気になる」という人もいることでしょう。そんな方には、以下の文章をご紹介させて頂きます。
「二兎追うものは一兎をも得ず」ですが、一兎を追いかけて捕まえることができた人には、二兎目もつかまりやすくなります。
『情報ダイエット仕事術』(堀E・正岳/大和書房)p.41


まずは易しいものから手を付けてできるようにしていきましょう。解決する過程で、「周辺の能力を鍛える」ことを意識していけば尚の事良いでしょう。そして、解決できれば、「解決できた!」という自信がつきます。そして、鍛えた周辺の能力と身についた自信が二兎目(次の苦手解決)を捕まえやすくしてくれるのです。

そう言えば、『アスペルガー症候群だっていいじゃない』(しーた/Gakken)でも、「二兎追うものは一兎をも得ず」が紹介されていました(p.56 あすぺさんのことわざ劇場-1-)。シータさんの著作の中では、「あすぺさんにとって、優先順位をつけて1つずつ集中して仕上げることの重要性」を指摘しておられました。

サイン頂きました&お礼


公演終了後、シータさんにお願いして、書籍『アスペルガー症候群だっていいじゃない』にサインを頂きました。

最後になりましたが、講師のしーたさん、有益なお話とかわいいサインを本当にありがとうございました。主催のエンパワメントかこがわの皆さま、このような機会を設けて下さり、ありがとうございました。そして、大雪の中ご参加された方々、お疲れ様でした。

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