2018年11月4日日曜日

トシヤの書評:『私たちは生きづらさを抱えている』



皆さん、愉しんでますか~♪
書評記事の投稿です。

本の紹介


私たちは生きづらさを抱えている
姫野桂=著・五十嵐良雄=監修/イースト・プレス

本書は、発達障害の特性による生き辛さをテーマに、発達障害当事者22人に取材を行い、彼らの生きづらさをリアルに洗い出した一冊になります。

また、書き下ろしとして、「自分も発達障害かも」と疑う著者が心療内科を受診し、検査を受ける体験も収録されています。

書評


本書のように多くの当事者(その数22名!)に取材を行い、当事者がそれぞれ抱える生きづらさをリアルに洗い出した書籍は本当に珍しく、それだけでも本書の貴重さを感じられます。

本書のもう一つの特徴は、「自分も発達障害かも」と疑う著書が、心療内科を受診し、検査を受ける体験が詳細に書かれていることです。

診察での医師とのやり取りや心理検査の内容が詳しく書かれていて、「検査を受けるか迷っている」「検査ではどんなことをするのか」と不安を感じている人にとって大いに参考になります。

また、「知っておきたい発達障害の基礎知識」というコーナーがあり、そこでは、発達障害の種類などといった基礎知識が簡潔にまとめられているのも有益だなと思いました。

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

当事者の悩みで一番多かったのが、マルチタスクが苦手だったり、職場の人と良好なコミュニケーションが取れなかったりして、仕事が続かないこと。 
次いで、二次障害によるうつ病や睡眠障害、自律神経失調症、発達障害の特性により引き起こす可能性のあるギャンブル依存症や買い物依存症、性依存症などだった。 
体調が悪くて病院を受診したら、その体調不良は発達障害が引き起こした二次障害だと判明したケースも珍しくなかった。 
この本により、当事者の現状や本音が少しでも多くの人に誤解なく伝わり、生きづらさの緩和への道が開ければと思う。
(5ページ)
⇒☆二次障害のうつや睡眠障害は結構認知度が上がったと思うけれども、ギャンブルや買い物、性への依存症が多いということはまだまだ認知症が低いと思う。また生きづらさの緩和への道を開くことに、当事者も定型発達の人も関われるような仕組みが必要だと思う。
多くの人は自然に行っているであろう挨拶や雑談を、ここまで深く考え、自分の理論に組み立てているのはASDの特性と言えるかもしれない。そうやって疑問と鬱憤を溜め込んでいたエリコさんだったが、ついに限界がきてしまった。
(26ページ)
⇒☆自分もどうしても理論に基づいて考えてしまうから、多くの人が疑問に思わないことが疑問に思えて仕方がなくてイライラすることが多いかもしれないな~。

周りが楽しそうにしていても、自分には何が面白いのかがわからない。自分の好きなことややりたいことを一生懸命語っても、相手に響かない。そのようなズレは発達障害の人にしかわからない。
(42ページ)
⇒☆確かに、自分の好きなことややりたいことを一生懸命語っていても全然伝わってない光景をよく目にする。そして発達障害者同士でも、このようなズレが往々にしてあるように感じる。

「私たちはお互い真逆の夫婦なんです」とショウタさんは語る。発達障害にはできることとできないことの差が激しいという特徴があるが、お互い真逆なおかげで、苦手な面を補い合って生活できているという。
(66ページ)
⇒☆おお!僕とマイハニーの理想を体現している夫婦がいるということを知れてすごく心強いな♪

入籍する前、半年間ほど同棲をして、お互い何が得意で何が苦手なのかを見る機会を作りました。そしてお互い得意・不得意をよく知ったうえで、今は暮らしています。(中略) 
もちろんふたりとも共通して苦手なことはあります。片付けに関してはふたりとも苦手ですが、僕は体調を崩しちゃうくらい苦手なんですよ。そこは、程度を見てどちらがやるか決めています。
(66ページ)
⇒☆マイハニーとの同棲を開始したら、半年間は、しっかりお互いの得意・不得意を見る機会と捉えて生活していけたらなと思う。そしてふたりとも共通して苦手なことは、思い切って他の人に頼んだり外注したりしていこう。

「真逆の夫婦だからこそバランスが取れているけど、それは障害のある・なし関係ないかもしれない」と語るショウタさん。
(70ページ)
⇒☆おお!障害のある・なしを超越していて、本当に理想の夫婦に思える♪

『必要なものだけ買いなさい』と言われても、私には全部必要なものに思えるんです。優先順位があいまいなんでしょうね。
(74ページ)
⇒☆衝動買いとか片付けができないというのも、「優先順位があいまい」という特性を抱えている人に多いのかもしれないな。

ADHDの人はその衝動性からニコチンやアルコール、ギャンブルや性といった依存症に陥る確率が定型発達の人の2倍という研究結果が出ている。
(74ページ)
⇒☆このデータ自体がもっと多くの人に広まった方がいいと思うし、依存症に陥ったことを「自分の意志が弱いから」というように、必要以上に自分を責めることも、このデータを知ることで少なくなるのではと思う

ADHDの特性のひとつである『ポップコーン現象』というものだと医師が言っていたのですが、頭を中でポップコーンが弾けるように、様々な考えが浮かんでいくんです。
(87ページ)
⇒☆いわゆる「脳内多動」という、ADHDの人によく見られる現象かも。なんかすごくよく伝わるネーミングだと思う。

自助会が合わないと感じた人や、発達障害に限らず生きづらさを感じている人が気軽に集えたらいいなと。
(125ページ)
⇒☆「発達障害に限らず生きづらさを感じている人が気軽に集える」のが発達障害BAR The BRATsだとしたら、「生きづらさを感じている人を含めた様々人が対話するために集える」のがOne day cafe.kyotoなのかもしれないな。

実際にお店にいらしたお客さんが言っていたのですが、「自助会で発達障害については話せるけど、そこから併存した口に出しづらい二次障害、たとえばうつ病はまだ言えるけど、性依存などは言いにくい雰囲気」とのことでした。
(126ページ)
⇒☆僕も自身の性依存などのことを思い切って話す場が欲しいな~

僕は「発達障害の自分はマイノリティだ」という意識がすごく苦手です。「私はマイノリティだから」、自らを社会から隔離してしまっているような。 
そういう側面が、このマイノリティという概念をブラックボックス化しているように感じるからです。マイノリティに見られるように自らパフォーマティブに振る舞うことで、二重の共犯関係が生まれているのではないでしょうか。
(129ページ)
⇒☆少し耳の痛い話だな~僕もマイノリティに見られるように振る舞うことが結構あるかもと思った。大事なことは、「自分はマイノリティかどうか」ではなく、「相手も私も違う一人の人間である」という多様性の観点から始めていくことかもしれない。

勉強さえできればいいというのは。ある意味すごく楽なんですよね。そうすれば多少変なところがあったとしても、勉強ができるという点で認めてもらえるので。だから、社会に出てからの方がキツイんです。 
社会に出てからのことを考えると、勉強ができれば褒められる学生時代のシステムはヤバいと思います。
(135ページ)
⇒☆まさにこのシステムにどっぷりはまってしまったな~

僕が唯一やることは、相手が失敗したときに、そのことを一切責めないことです。そして、相手がミスを起こしたら、そのミスに対してどう改善すればいいかを一緒に考えようにしています。 
たとえば、うちのバーで問題が起こった場合、スタッフのミスを責めることありません。なぜならそれは無駄だからです。責めたところでそれは処理しきれない自分の感情を慰めている行為に過ぎないため、 
だったらどうすればカバーできるかを一緒に考えます。そうやっていると、不思議なことに、自分がミスをしたときも許してもらえます(笑)。これが僕の生存戦略なんでしょうね。
(141ページ)
⇒☆これも耳が痛いなあ~。時々、相手がミスしたときに相手のことを責めてしまうことがあるな。そうではなくて、ミスが起こったら、「方法やシステムをどう改善すればいいかを一緒に考えようよ」と呼びかけることが有益だな~。

ちょっと言葉遊びになってしまいますが、体験と経験をきちんと区分けすることは重要かなと。体験を自分のなかに組み込まないと経験にならないと思うんです。 
だから、体験だけを積み重ねている人は成長しないと思います。体験をいかに経験にするか、です。 
自分のなかに体験を入れていって、言語化していくなかで他人との共通点を見つけられる状態が経験だからね。
(142ページ)
⇒☆だとしたら、体験した後にその体験を自分自身の中でRethinkする、もしくは他の人と語る。そこで得られた気づきを言語化していくことで経験にできるんじゃないかなと思う。そういう意味でも、じわくらでいうところのRethinkやOne day cafe.kyotoでの「対話の場」は、「体験を経験にする」ステージなのかも♪

僕のなかでは社会が受け皿を作るというより、もっと主体的に「自分の特性はこうだ」と示して、自分で作っていくものかなと思う。 
そのなかで受け入れられるためには「お互いこういう努力をしましょう」と交渉をしますし、その上で相手が望むパフォーマンス以上のものを提示すれば、リターンは確実に来ますから。そうやって自分の場所を僕は守っているつもりです。
(144ページ)
⇒☆社会に受け皿を要求するのではなく、まずは自分で作っていく。そしてできれば他の人と一緒に作り上げること、その作り上げる過程を一緒に愉しむということができたら素敵だと思うし、その愉しさを伝えていきたいな♪

受け皿を作ってほしいと本当に思うのなら、まず相手のことを受け入れなさい。そんなこともしないで一方的に「自分を受け入れて、受け入れて」と言うのは、かまってちゃんと一緒だぞと。
(146ページ)
⇒☆相手を受け入れるというのはいきなりは難しいから、まずは受け入れる前の状態である「受け止める」ということをお互いにやっていくことが大事かなと思う。

今、定型発達の人は「君たちは扱いづらい」、発達障害人は「もっと配慮して」と言う、お互いにドッジボールをしているんですよね
(146ページ)
⇒☆この「お互いにドッジボールしている」っていう指摘はすごく納得がいくな~。そして僕は、対話を通じて、ドッジボールではなく、「キャッチボール」を愉しむこと、そして定型発達・発達障害を問わず多くの人がキャッチボールを愉しんでいってくれたらなおと思う♪

バーの名前である「BRATs」ってそういう意味も含めています。直訳すると「悪ガキ」ですが、それを自分たちで名乗るところに意味を見出していま 
「お前たち悪ガキだろ?」と言われたとき「いや、違うよ。障害なんだよ」と言ったら攻撃なんです。だから、こちらは度量を見せて「うん、悪ガキだよ!」って言いたいです。 
やっと中二病を出した(笑)
(147ページ)
⇒☆この「悪ガキなんだよ!」って自ら名乗ること、そしてそれを愉しむ度量と余裕!この感覚素敵♪

性依存症には「犯罪化するタイプ」と「犯罪化しない」タイプがあり、セックス依存症は後者の代表だといっていいでしょう。同性・異性を問わず不特定多数の相手とのセックスは、性感染症や望まない妊娠のリスクが高まります。 
セックスするために金銭が必要な場合は、ギャンブルと同じく経済的損失にもつながります。しかし、社会的に犯罪とはみなされません。(『男が痴漢になる理由』p.47)
(153ページ)
⇒☆僕の場合は経済的損失が多いパターンのセックス依存症かもしれない

セックス依存症は女性に多い病です。特に薬物依存症や性虐待を生き延びた女性に多く見られ、不特定多数の異性と関係を持つこと自体が、彼女らに一時的な心の安定をもたらします。 
心理的苦痛や不安を解消するため、または心的外傷への対処行動として彼女らは、その行動を繰り返し、やめられないのです。(『男が痴漢になる理由』p.47)
(153ページ)
⇒☆セックス依存症は女性に多い病であること、そして心理的苦痛や不安を解消するため、または心的外傷の対処行動として繰り返して止められないということをもっと多くの人に知ってもらいたいと思う。

本来の依存症の定義は、損失があるとわかっているのにやめられない行為だ。リナさんは、性行為によりどんな損失を被っていたのか疑問が湧いたので聞いてみると、「相手に依存している状態を正常だと誤解してしまい、自分の意思を見失っていることに気づかず、気づいたときには自尊心や人間関係が崩壊していること」だと語った。
(154ページ)
⇒☆おお!自分の意思や自尊心、人間関係の損失があるということはすごく大きな損失だし、それに気づかずひたすら依存していることは気づいたときにはすごく辛いんじゃないかな。

定型発達の人と比べると、当事者のほうが性について話したい人と話したくない人の差が激しい傾向にあります。当事者のなかでも、もっと性について語れる場を増やしていきたいです。 
性って本来すごく大事なことに全然話せていない。『それならば、性について話したい人だけが集まればいいじゃん』と思われるかもしれませんが、そうなると今度はその人たち同士でどういう距離感で話せばいいかという問題が生まれます。
(156ページ)
⇒☆ものすごいジレンマ!

自助会のようなクローズドな場はたくさんある一方、オープンな場は発達障害バーくらいしかありません。だから、自助会でもなく饒舌な交流会の場でもなく『自助会以上、居場所未満』の中間層を今後作っていきたいです。 
発達障害の人に向けて、性の悩みや性被害を少しでもなくてたらと思います。
(156ページ)
⇒☆この「自助会以上、居場所未満」という中間層が、今エデン大阪やエデン京都などを中心にたくさん増えているような気がする。やはり需要はあるのだな~

フリーランスは特にB to Bの場合、"能力×仕事のしやすさ"だと思うんです。能力のほうは経験を重ねて鍛えていけばいいんですが、発達障害の人の場合、仕事のしやすさの部分がネックになる人が多いのかなと思います。 
私でいうと、講師としての能力はそれなりに評価されているけど、仕事のしやすさの面で以前はルールや納期を守れない。ケアレスミスをするという失敗をしてきました。
(184ページ)
⇒☆この仕事のしやすさを整備することに対して、僕のように「定型作業をミスなく繰り返せる」といった特性を発揮して、カバーし合うWin-Winの関係が築けたら♪

フリーとして働くうえでもうひとつ重要なのは、断る勇気。『この人は発達障害特性を理解してくれない』と思ったり、『管理業務までやってくれ』と言われたりしたとき、応じると失敗してしまう。
(184ページ)
⇒☆確かに、この「断る勇気」をもっと持てるようになっていきたい!

ハーバード大学を卒業された『ポジティブ心理学』の第一人者ジョン・エイカー氏が、スーパープレゼンテーションで『就職(成功)したら幸せになる時代ではない。幸せになったら成功できる時代だ」と言っていました。 
幸せに感じたところから自己受容が起こり、自己肯定感が高まって、自己開示につながり。そして相手のために自己表現をすることで他者と繋がっていくので、結果的に"就労"という形になるんです。 
自己受容がはじまる前段階で、無理やり就職をしても長続きすることはかなり難しいと感じています。
(192ページ)
⇒☆「自己受容がはじまる前段階」。これはセルフアドボカシーが重要ということを言っているような気がする~

一般的には言語性IQ(経験や学習のなかで学んできた結晶性知能)と動作性IQ(目の前の状況に対応できるかという流動性知能)の差が15以上あると凸凹のある発達障害と言われている。 
私の場合は「言語性IQ>動作性IQ」でその差が20あり、数値だけで見るとグレーゾーンであるが、報告書にははっきりと「患者は発達の偏りを有していることが示された」と書かれている。
(222ページ)
⇒☆私も著者と同様に「言語性IQ>動作性IQ」で、その差が20ぐらいあるのですごい親近感♪

そして、唯一私を救ったのは本だったのだと気づいた。医師が言ったように、本や新聞からの知識があったことで他のできないことを補っていた。誰かに強制されて読んでいたわけではなく、好きだから読んでいた。(中略) 
本による知識が今の自分を作ってくれているので、今まで読んできた本すべてに感謝したい。
(227ページ)
⇒☆全く同感!そしてこの「唯一、私を救ったのは本だったということに気づいた」という一文に、自分も救われたような思いがした。

「私は暗算ができないけど、記事を書けば500万PV出せます」 
これを私のウリにすることにした。そして、今後は自分ができないことによって生じてしまった自己肯定感の低さや強迫観念を心療内科の診察をメインに少しずつ改善しこうと思う。
(237ページ)
⇒☆この「私のウリ」を僕も見つけたい。そして、マイハニーが見つけることを手助けしていきたい。そしてお互いの自己肯定感の低さを少しずつ改善していくことを二人三脚でやっていきたい。

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